レンタカー事業の許可
まだまだ残暑が厳しいですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?昼間と朝晩の気温差が感じられるようになってきましたので、体調にはお気をつけください。
さて、今年はコロナウィルスの影響で、いつものような「行楽の秋」を満喫できないかもしれませんが、ご家族・大切なパートナー・ご友人などでドライブを楽しみます!という方々もいらっしゃるかと、ちょうど来週頭には連休もございます。
そんなご予定でレンタカーを利用される方もいらっしゃるかと思いますが、レンタカー業を始める際にも許可が必要なのです。
道路運送法上での正式名称は「自家用自動車有償貸渡業の許可」と言いますが、ここは分かり易いように「レンタカー事業の許可」とします。
●レンタカー業の許可の要件
申請者の要件
株式会社などの法人や個人事業主の方も申請できます。ただし、次に該当する方(法人の場合は役員全員)がいらっしゃると許可は取得できません。
- 1年以上の懲役又は禁固の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない者。
- 一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの許可の取り消しを受け、取り消しの日から2年を経過していない者。
- 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は成年被後見人である場合において、その法定代理人が前記1.及び2.に該当する者。
- 申請日前2年前以降において、自動車運送事業経営類似行為により処分を受けている者。
次に営業所に配置するレンタカー車両により整備管理者を選任し運輸支局に届出をする必要があります。
- 自家用自動車10台以上をレンタカー車両に登録
- 乗車定員11人以上のバス1台以上をレンタカー車両に登録
- 車両総重量8トン以上のトラックを5台以上をレンタカー車両に登録
となりますので、乗用車9台を使ってレンタカー業を始める場合は整備管理者の選任をする必要はありませんが、10台以上になったりした場合は整備管理者が必要になります。
整備管理者の要件は、次のいずれかに該当する者です。
- 1級・2級・3級の整備士の資格を有する者。
- 整備管理を行おうとする車両と同種類の自動車の点検、もしくは整備の管理の実務経験が2年以上有する者が、運輸支局が行う「整備管理者選任前研修」を修了した者。
営業所等の要件
営業所は事務用のスペースと接客用のスペース等があれば良いです。面積の要件などはありません。ただし、レンタカーに使用する全車両の車庫は確保しなければいけません。1ヶ所に全部駐車しなければならないというわけでなく2ヶ所になってもかまいませんが、車庫証明の手続きとなりますので営業所から車庫となる場所までが直線距離で2km以内でなければ車庫証明が取れません。
金銭等の要件
レンタカー業を始めるために資本金や預貯金がいくら以上という要件はありません。しかし、レンタカー車両の自動車保険の補償額は次の項目以上でなければなりません。
- 対人保険…1名につき8,000万円以上
- 対物保険…1事故につき200万円以上
- 搭乗者保険…1名につき500万円以上
この上記の補償内容は最低限の内容になります。
車両の要件
レンタカーとして使用できる車種は次の車種になります。
- 自家用自動車
- 自家用マイクロバス(乗車定員29名以下、全長7m未満)
- 自家用トラック
- 特殊用途自動車
- 二輪車
※マイクロバスはレンタカー事業で2年以上の経営実績がないと取扱いできません。
となりますので、原付・ミニカー・小型特殊自動車はレンタカーの対象となりません。
また、レンタカーとして使用できない車両もございます。それは、次の車両となります。
- 乗車定員30名以上、全長7m以上の自家用マイクロバス
- 霊柩車
●提出書類
レンタカー業の要件を確認し、申請書・添付書類をそろえることになりますが、個人事業主・法人での2つの場合の提出書類を説明いたします。
個人事業主の場合
法人の場合
- 自家用自動車有償貸渡許可申請書
- 貸渡料金表
- 貸渡約款
- 法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 宣誓書
- 事務所別車種別配置車両数一覧表
- 貸渡しの実施計画
レンタカー型カーシェアリングを行う場合は、上記の書類に加え、
- カーシェアリングに使用する自動車の車名及び型式
- カーシェアリングに使用する自動車の保管場所(デポジット)の所在地、配置図
- 自動車保管場所を管理する事務所の所在地
- IT等の活用により行う車両の貸渡し状況、整備状況等車両の状況の把握方法
- 車両、エンジンキー等の管理・貸し出し方法
- 会員規約又は契約書
- 「貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて」(平成7年6月13日付自旅第138号)2.(5)②に規定する場合のアイドリングストップ励行等エコドライブ研修・啓蒙計画
- レンタカー型カーシェアリング(ワンウェイ方式)の実施に係る確約書(レンタカー型カーシェアリング(ワンウェイ方式)を実施する場合に限ります)
●事業開始までの流れ
申請書の提出
提出は2部作成します。(1部はすべてコピーでOKです)提出先は運輸支局になります。
◎熊本運輸支局 輸送・監査部門 TEL096-369-3155
窓口では提出書類が全て揃っているかなど形式的な確認をされます。問題がなければ受理されますが、受理されたからといって許可がおりたわけではありませんので、この時点ではまだレンタカー業を行うことはできません。
運輸支局での審査
窓口で受理された書類を運輸支局で書類審査されます。審査に要する期間は概ね1ヶ月ほどになります。状況により1ヶ月を超える場合もございますので、開業時期が決まっている場合は余裕をもって申請されたほうが良いでしょう。
許可取得
運輸支局の審査が完了しますと担当者より連絡が入ります。許可証を受領するために運輸支局の窓口に行きます。窓口で担当者から許可証の交付の他、納入告知書を受け取り、登録免許税9万円を金融機関等で納付します。その領収証書を運輸支局の窓口に提出します。
整備管理者の選任が必要な場合は、整備管理者選任の届出を行います。
車両登録の手続き等
レンタカー事業を行う営業所を管轄する陸運局で車両の登録を行います。登録は通常の車両登録に加え、「レンタカー事業者証明書」が必要になります。証明書はレンタカー事業許可取得の手続きを行った運輸支局の窓口で取得します。
レンタカーの車両登録の際は車庫証明が必要ですので、車両登録前に車庫証明を取得しておきましょう。登録が済みましたら自動車保険加入手続きも行いましょう。
営業開始
車両の登録等が終了しましたら、営業所に「貸渡約款」「料金表」の掲示、「貸渡簿」等の準備を行います。準備が完了しましたら晴れてレンタカー事業を開始できます。事業を始めたら事業開始届を運輸支局に届出ます。
以上がレンタカー事業の許可の紹介となります。
ご覧いただきありがとうございました。