車好き行政書士の東奔西走日記

熊本県で行政書士をしているイシハラと申します。行政書士に関する事、ときどき車の事が中心のブログです。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

移動販売(キッチンカー)の許可

まだまだ昼間は暑いこともありますが、朝晩はすっかり季節の移ろいを感じるようになりました。シルバーウィーク中に一度阿蘇に行きましたが、ススキも出ていて、田んぼの稲穂など秋の風景もよく見かけることができました。

さて、秋と言えば…「食欲の秋」がありますが、今年はコロナウィルスの影響で飲食店業界も大打撃です。そんな中、テイクアウトがよく利用され、サービスの一環で始められたところも多々見受けられました。

そして、テイクアウトと言えば利用したことある人も多いと思います移動販売!キッチンカーとも言われますが、もちろんこの「移動販売」も飲食店営業となりますから許可が必要となります。

 

自動車での営業

自動車での移動販売の許可は「調理営業」と「販売業」に分かれます。この区分で扱える許可対象業種は以下のようになります。

 

調理営業…車内で調理をして販売する「食品営業自動車」

  1. 飲食店営業…簡易な調理加工により提供でき、食事を提供する前に十分に加熱された食品(煮物、揚げ物、焼き物、茹で物など)又は酒類等に限る。
  2. 茶店営業…酒類以外の飲物、茶菓、削氷等、アイスクリーム類(小分け販売に限る。)、ソフトクリーム(液状ミックスを原料として使用)
  3. 菓子製造業…簡単な加工により提供でき、食事を提供する前に十分に加熱された食品(焼き菓子、揚げ菓子、蒸し菓子など)

 

販売業…移動スーパーなど販売するだけの「食品移動自動車」

  1. 乳類販売業…直接飲用に供される牛乳、山羊乳若しくは乳飲料(保存性のある容器に入れ、摂氏115度以 上で15分間以上加熱殺菌したものを除く。)又は乳を主要原料とするクリームを販売する営業。)
  2. 食肉販売業…容器包装された食肉
  3. 魚介類販売業…生食用に調理した魚介類は、あらかじめ容器包装されたものに限る
  4. 食品販売業…(弁当類、生菓子、アイスクリーム類、乳製品等、食肉製品、魚肉ねり製品、冷凍食品、豆腐類、納豆、めん類、そうざい)

 

営業許可

固定店舗と同様に移動販売でも販売場所の管轄の保健所に認可申請をし、保健所から営業許可の認可を受けなければなりません。例えば、熊本県の保健所で認可を受けたキッチンカーが福岡県で営業することはできません。

 

食品衛生責任者

営業許可を取得するのに必要な条件に「食品衛生責任者」の資格取得があります。移動販売車1台につき1名必要です。

  • 食品衛生責任者養成講習会の受講
  • 特定の資格の保持(栄養士や調理師など)

どちらかを満たしていると資格を取得することができます。

 

移動販売車の8ナンバー取得

移動販売車は特定の構造要件を満たしている必要があります。

 保険所の定める基準は地域によって違いますが、主に注意すべき点は、以下のようになります。

  • 運転席と調理場は明確に区切られているか
  • 車内は清潔で十分な明るさがとれているか
  • 車体は耐水性・耐久性があるか
  • 排水・給水タンクの水道設備
  • 流水式の手洗い設備や洗浄設備
  • 蓋つきのゴミを入れる容器
  • 換気扇など換気が十分できる設備
  • 発電機やガス設備、取扱食品を常に保存基準の温度以下に保存できる能力のある冷蔵・冷凍設備が設けてあるか
  • 調理器具や食器などを衛生的に格納できる設備

そして改造した自動車は運行するためには、自動車検査独立行政法人で構造変更検査を受け、8ナンバーのナンバープレートの交付を受けなければ運行できません。

 

食品の仕入れ・仕込み場所

食品の(販売について許可を要しないものを除く。)の仕入れ又は仕込みは、法または条例に基づく許可施設または施設基準に準じた施設で行います。ただし、未加工の魚介類を仕入れる場合は、この限りではありません。

仕込み場所も当然営業許可を有していなければなりません。

 

手続きの流れ

①事前相談

施設・営業車の設計図を持参し、管轄の保健所に事前相談をしておきます。その際、施設ごとに置く食品衛生責任者を決めておきましょう。熊本市の場合、熊本市保健所ウェルパルくまもと4階にあります食品保健課になります。事前に相談しておくと、調理場や製造・販売施設が施設基準に適合しないため、施工した後に手直しが必要になる場合や、許可を受けられないということを事前に防ぐことができます。

 

②申請書の提出

施設が完成する7日前位前までに、申請書類・添付書類を提出し、申請手数料を支払います。

この時に、施設の確認検査の日時を打ち合わせます。

 

③施設の確認検査

食品衛生監視員が施設の確認検査を行います。検査の際には、必ず営業者が立ち会ってください。施設基準に適合しない場合は許可を受けられません。不適事項については改善し、改めて検査日を決めて再検査を行います。

 

④許可証の交付

施設基準に適合することが確認された後、許可証が交付されますが、許可証の交付まで1週間程度かかります。開店日については、調査した食品衛生監視員と打ち合わせてください。

許可証受領の際には、印鑑(受け取りに来る方の認印)が必要です。

 

以上が移動販売の許可となります。食品衛生面からと自動車の構造面からのチェックが必要となりますのでよくご確認ください。

 

ご覧いただきありがとうございました。