古美術品輸出鑑査証明
気候は寒さも感じる時間も増えてきて、11月ともなるとすっかり秋といえますが…それでも昼間の日差しは強いです。「こんな暑かっただろうか?」と今年はより強く感じます。
さて、秋といえば「スポーツの秋」「食欲の秋」「読書の秋」いろいろございますが、「芸術の秋」もその一つ、芸術作品でもある美術品に関連する申請をご紹介いたします。
古美術品を海外に輸出する際に必要になるのが、「古美術品輸出鑑査証明」です。申請窓口・お問い合わせ先が文化庁になります。聞きなれない申請ですが、文化庁ホームページには、
“国宝・重要文化財指定物件及び重要美術品等認定物件は,文化財保護法及び関係法令により,原則として海外への輸出(持ち出し)が禁止されています。
そこで,円滑な通関検査に資するとともに,貴重な国民の財産である文化財が誤って海外に流出することを防ぐため,古美術品を海外に輸出しようとする際には,当該輸出品目が国宝・重要文化財に指定されておらず,重要美術品等認定物件にも該当しないことの証明を,税関に対し提出する取扱いとなっております。
この証明を「古美術品輸出鑑査証明」と言い,文化庁が証明書を発行しています。古美術品を輸出される方は,本制度の上記趣旨を御理解の上,以下「申請要領」等をよくお読みいただき,申請手続への御協力をお願いいたします。”(文化庁ホームページより)
と書かれており、我が国の貴重な文化財の保護のため、この申請手続きが定められております。
申請の要領
1 申請書類及び必要部数
1)申請書…2部
申請書は様式がございます。2部作成して提出します。1部を古美術品輸出鑑査証明書として申請者に発行され、もう1部を文化庁の方で保管されます。
2)輸出品目の写真等…2部
申請書と同様に2部作成の上、提出します。
3)銃砲刀剣類登録証(表面)の写し【輸出品目が銃砲刀剣類の場合のみ】…2部
銃砲刀剣類所持等取締法第14条の規定による登録を受けた銃砲刀剣類(以下「登録銃砲刀剣類」という)を輸出しようとする場合、銃砲刀剣類登録証(以下「登録証」という)の表面の写しを提出します。
4)申請者の委任状(申請者以外の者が、手続きを行う場合)…1部
申請者が代理人に対し、書類の申請や証明書の受取に係る手続きを委任したことが確認できる書類を提出します。
※申請者が会社・組合等の場合、申請書に記載されている会社・組合等に所属する社員からの代理申請の場合には、委任状の提出は不要。
申請の方法
申請方法は2通りになります。
1)窓口申請
窓口で申請し、後日窓口又は郵送で証明書を受け取ります。窓口に行かれる際は、申請者(代理人の場合は委任状に記載された代理人)本人の氏名等が確認できるもの(運転免許証やマイナンバーカード、外国人登録証などの顔写真付き公的機関発行の証明書又は保険証など)を窓口にご提示する必要があります。受け取りを郵送で希望される方は返信用封筒を1通ご持参します。
2)郵送申請(申請も受け取りも郵送の場合)
郵送により証明書を受け取る場合は、申請に必要な書類に加え、返信用封筒(申請書類が折り曲げずに入るサイズの封筒で送付先の宛名・住所の記入、切手貼付)を1通同封します。
【申請窓口および問い合わせ先】
TEL.03-5253-4111(審議会係:内線3156)
証明書の発行
1)所要期間
申請書類を受理してから証明書が発行されるまで、通常は10開庁日程かかります。申請書類に不備がある場合等は、申請書を返却・証明書の発行ができないという事があります。
2)その他
①証明書の有効期間は1年(但し1回の輸出に限り有効)となりますので、輸出時期に合わせて申請してください。
②通関手続の際には、証明書(原本)を税関に提出しますので、税関への輸出申告ごとに申請してください。
申請書類関連作成での留意点
輸出品目の写真等
1)輸出品目ごとの写真等
①輸出品目が刀剣類の場合、鞘と柄を取り外して刀身全体の写真(表・裏)及び茎(なかご)部分の拡大写真(表・裏)、又は茎の押形
②輸出品目が刀剣類以外(絵画・彫刻・工芸品等)の場合、輸出品目が鮮明に写っているカラー写真(原則として1点1枚以上。)
2)写真等は、必ずA4サイズの台紙に貼付の上、提出。
3)写真等の大きさは、できるだけキャビネサイズ又は2Lサイズ以上のものを使用。
4)2部提出には、2部とも『同じ用紙に印刷したもの』を使用します。1部写真原本をカラーコピーで複製等は認められません。
5)申請書の品目欄に記入した番号と同じ番号を該当する写真等の脇(台紙部分)に記入しってください。
6)立体物については別角度の写真、典籍類については別ページや奥書の写真、絵画や書跡については落款などの拡大写真等を追加で提出、写真が不鮮明と判断した場合も追加の提出をいただく場合もあります。
輸出品目が刀剣類の場合
上記の1)~5)に加えて、以下の2点もご留意が必要です。
ア)登録証の記載内容(銘文・大きさ・目くぎ穴等)と写真が一致しない刀剣類は証明書を発行できません。現物と登録証記載内容をよく照合してください。
イ)刀剣類の場合は上記の1)や刃文や銘文、目くぎ穴等が鮮明に写った写真の提出が必要です。
美術品を輸出する際に必要で、貴重な美術品の保護という面もある手続きです。美術品と行政書士、一見関連の無いように見えますが、こういう何かしらの繋がりがあるという広範囲な業務です。これからもこのブログ等で発信していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ご覧いただきありがとうございました。
石原大輔行政書士事務所
石原 大輔